月観て走る

雄叫びメモ帳

【すずめの戸締り】頭の中の地獄に折り合いをつけるために

「すずめの戸締まり」観てきた。 良かった。意外に、と言うのは失礼な言い草だけどもとても良い映画だった。少し泣いて、ちょっと晴れやかな気持ちで映画館を出た。こういうのは久しぶり。 私は「雲の向こう、約束の場所」を観て以来(お好きな方には申し訳…

デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場/河野 啓【読書メモ-11】

books.shueisha.co.jp 申し訳無いのだけれども、その名前を知ったのはエベレストでの彼の訃報が流れたときだ その訃報に、皮肉や哀れみを含んだコメントが妙に多かったことが引っ掛かりはした。詳しい事情は全く知らないが、山に登る人が山で死ねたならそれ…

【読書メモ-10】小林カツ代の日常茶飯 食の思想

「小林カツ代の日常茶飯 食の思想」 小林 カツ代 (著)/河出書房新社(2017年) カツ代が怒っている。 静かにフツフツ沸き立っている。 それは一過性の怒りでは無く、こっとり煮込み続けるシチューの泡のように、 底の方から穏やかに絶え間なく吹き上がり続…

【読書メモ-9】修道院のお菓子―スペイン修道女のレシピ

「修道院のお菓子―スペイン修道女のレシピ」 (天然生活ブックス) 丸山久美 著 スペインの女子修道院では、中世の頃からお菓子作りが盛んに行われてきたのだそうな。 修道女たちが受け継いできたレシピを紹介するレシピ本。 表紙がいい。柔らかくて素朴で手…

【読書メモ-8】ノスタルジア食堂 労働者の在りし日の食卓

「ノスタルジア食堂 労働者の在りし日の食卓」 イスクラ 著 旧社会主義国の人々の日常食のレシピを集めたレシピ本。 大体この手の本のレシピは日本人が普段日常で作るにはあまりにも分量が多すぎ、 手に入りそうもない食材が並んで作る前からお手上げの気持…

【読書メモ-7】農民ユートピア国旅行記

「農民ユートピア国旅行記」 アレクサンドル・チャヤーノフ著 和田春樹・和田あき子訳 まず目次がいい。 なろう小説かよっていうくらい説明的な章題がこれでもかと並ぶのがいい。 「第3章のつづき。章が長くならないために独立させた章」 とか、 「第9章と…

【読書メモ-6】世界の有名シェフが語るマンマの味

「世界の有名シェフが語るマンマの味」 ミーナ・ホランド 著 川添節子 訳 【株式会社エクスナレッジ】 エッセイ集というのでもなく、レシピ本というのでもなく、インタビュー集でもなく。 なのに1冊読み終えたときに受ける印象は調和している。不思議な本だ…

【読書メモ-5】キムチの四季 ―ハルモニが伝える韓国家庭料理の真髄

「キムチの四季 ハルモニが伝える韓国家庭料理の真髄」 カン・スニ (著)、チョウ・ミリャン (翻訳) パラリとページを捲ったとき、美しい料理と、その料理が映える美しい器の写真にまず目が惹かれた。見ただけで包丁の冴えが伝わる、美しい写真だった。 …

【読書メモ-4】冷蔵庫のうえの人生

「冷蔵庫のうえの人生」 アリス・カイバース(著) 八木 明子(訳) 冷蔵庫のうえに貼られた母と娘のメモのみで進む物語。 メモは長かったり、短かったり。娘の小遣い増額要求だったり。買い物メモだったりする。 手に取るように母娘の暮らしぶりが伝わって…

【読書メモ-3】ポテト・ブック

ポテト・ブック マーナ デイヴィス (著), Myrna Davis (原著), 伊丹 十三 (翻訳) 表紙が良い風情なんだ。しっかりした厚い紙に包まれて、とぼけてて、いい風情。 カポーティによって書かれた序文が既に最高で、 すぐさまウォッカを冷凍庫に放り込んでキャビ…

【読書メモ-2】バン、バン!はい死んだ

「バン、バン!はい死んだ」ミュリエル・スパーク (著), 木村 政則 (翻訳) タイトルだけで手に取った。 タイトルの良い本に外れは無い。 いや、たまに外れる。 だがまあタイトルが最悪で中身が良いってことはそんなに無い。 いやそうでもないか。とりあえず…

【読書メモ-1】亡命ロシア料理

最近になって、図書館のすばらしさを再び知った。 本を買うとき、今後本当に読むのか本当に積まないのかと多少考えざるを得ないが図書館ならば感じるままに手に取って無料で二週間手元に置けるのだ。今更ながら素晴らしすぎる……人類の偉大な発明と言わざるを…

インド映画「ロボット〈完全版〉」感想のようなもの 

※ネタばれはあんまりしていませんが気になる方は先にご鑑賞ください。何か色々カットされてる短縮版より完全版(2時間57分あるほう)が断然おすすめです! 文化不毛の3階建てですら珍しいど田舎で生まれ育ったせいか、デカいものには無意識に惹かれてし…

「劇場版 おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜」の感想文 良いところ10個、悪いところ11個 ※注意/含ネタバレ

今からこの映画の良いところ10個、悪いところも11個言います。ネタバレを大いに含みますので、鑑賞前の方、マイナス意見を目に入れたくない方はブラウザをそっとお閉じください まず最初に大声で叫びたいです。サウナキャットファイト最高。 謎のいい体…

PRINCE OF LEGEND1話 個人的な覚え書き

感想です。ネタバレを含みます 一つツッコミどころがあったらこれでもかとSNS等で炎上の殺伐とした光景に遭遇しがちな昨今ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。しかし少々のポカには発狂しがちな人類でも、底が抜けたように大きな穴が既に百万個存在し、 …

舞台「サメと泳ぐ」個人的な覚え書き

2018/9/1から公演中の舞台「サメと泳ぐ」感想です。ネタバレを含みます こりゃ胸糞悪いものを見てしまった、とカーテンコールで拍手しながら思った。 いや、舞台は良かった。とても良かった。 オフィス、ヒロインの自室、電話の向こう側と、舞台上で目まぐる…

お姫様は淡い緑の水の中にいるーシェイプ・オブ・ウォーター感想

感想と言うかただのラブレターです。若干のネタバレを含みます。 見終わったあとも、ずっと淡い緑の水中にいるみたいだった。 怪獣は、お姫様とのキスで人間の王子様にならない。声を失ったお姫様は、愛する人と結ばれても、声を取り戻すことができない。 私…

推しにメンチを切って殴られ退場する名もなきモブチンピラに私はなりたい:ハイロー感想のようなもの

推しにメンチを切って殴られ退場する名もなきモブチンピラに私はなりたい。 まずメンチを切ろうと思う。メンチを切るなんて僥倖はモブの身には勿体無いのではという思いもある。しかしここは自分の気持ちに素直に身を任せたい。 目と目が合ったその瞬間、あ…

HiGH&LOW THE MOVIE感想「火炎放射器で街を焼けばいいってものじゃ無かったよ」 ※注 含ネタバレ

「火炎放射器で街を焼けば早いのに」 映画開始から数分、日本が舞台とは到底思えないスラム街に上がった、相当に豪勢な爆煙を見ながら私は考えていました。 「何故銃火器を出さない」 プロレスのように煽っていくスタイルの、やたらめったらカッコいいイケメ…