月観て走る

雄叫びメモ帳

【読書メモ-1】亡命ロシア料理

最近になって、図書館のすばらしさを再び知った。

本を買うとき、今後本当に読むのか本当に積まないのかと多少考えざるを得ないが図書館ならば感じるままに手に取って無料で二週間手元に置けるのだ。今更ながら素晴らしすぎる……人類の偉大な発明と言わざるを得ない。

 

ただ、悪いこともある。

読んだ本をすべて忘れてしまう。

内容どころかタイトルすら忘れる。いやさ、読んだことすら片っ端から忘れている。同じ本を二度貸りるなんて芸当もやらかす。

という訳で簡単なメモを取ることにした。

メモを取ることで多少なりとも内容を脳に留めておきたいという儚い抵抗です。

 

                                     

「亡命ロシア料理」

ピョートル ワイリ-アレクサンドル ゲニス (著)沼野 充義  北川 和美  守屋 愛(翻訳)

 

何故か図書館のレシピ本の棚に無造作に突っ込まれていた。

鮮やかな欧風料理のレシピ本が並ぶ中に、簡素な白地に赤文字で「亡命ロシア料理」とくっきりと浮き出たハードカバーの背表紙。この時点で貸し出し決定ルートである。表紙の料理写真もとてもいい。

アメリカを始めとしてありとあらゆる国と料理をボキャブラリー豊かに貶すのが心地よく、ついでに自国についても同じくらい丁寧に腐すのでその辺りのバランスも絶妙。

レシピを記した文章も大雑把ながら自ら包丁を取って料理をする人ならではの目配りが的確に効いている。

 壺に詰め込んで焼かれたパンやリンゴにたっぷりのバター。真っ当に作られた「にせウサギ」のサンドイッチ。キノコがたっぷりのスープ。水で薄めてないスメタナ。透き通ったブイヨン。6個もあれば腹いっぱいになるブリヌイ(餃子)

百年に一度クラスの酷暑の中、寒い凍り付いた大地の中で作られる、腸に染み込むようなアツアツのシチー(キャベツ汁)やウハー(魚汁)やお馴染みボルシチについて読むのはたまらなく楽しい。

 

寒くなったら保管用に一冊買って、もう一度読み返したい。ロシアの煮込み用の壺がひとつ欲しいなあ。