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雄叫びメモ帳

【読書メモ-9】修道院のお菓子―スペイン修道女のレシピ

「修道院のお菓子―スペイン修道女のレシピ」 (天然生活ブックス)

丸山久美 著

 

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スペインの女子修道院では、中世の頃からお菓子作りが盛んに行われてきたのだそうな。
修道女たちが受け継いできたレシピを紹介するレシピ本。
表紙がいい。柔らかくて素朴で手の味がしそうなやさしいイラスト。
卵、たっぷりの砂糖に油脂、ナッツやオレンジが多用されるレシピは(日本人の家庭で作ることを想定してアレンジされているのだろうけれども)、どれも相当に甘そうで、こっくりと濃厚で、でも素朴なところもあり、上等の和菓子のような削ぎ落としたニュアンスもある。
「卵黄」と名付けられたお菓子なんて、読んでるだけでねっとり歯に沁みそうだ。
 
ずっと前、マドリードの旧市街に訪れたときに、案内中のガイドさんが急に脇道にそれて、石造りの建物の小さな開かれた入り口の向こうに入ったことがある。
そこは女子修道院の入り口にある妙に薄暗い古めかしい部屋で、スペインの尼さんは一度門をくぐると二度と出られない、話もここの壁越しなんだよ、とガイドさんは手早く話してすぐにそこを出た。
 
あのそっけない重い扉の向こう側で、甘いおいしいお菓子が作られてたのかなあと思う。