【読書メモ-6】世界の有名シェフが語るマンマの味
「世界の有名シェフが語るマンマの味」
ミーナ・ホランド 著 川添節子 訳 【株式会社エクスナレッジ】
エッセイ集というのでもなく、レシピ本というのでもなく、インタビュー集でもなく。
なのに1冊読み終えたときに受ける印象は調和している。不思議な本だった。
1章が、食を軸にした3つのパートから成り立っている。
著者の個人的な思い出や経験から成るエッセイ、
食の世界の有名人へのインタビュー、
そしてごくありふれた食材を一つ取り上げたレシピと解説。
(といっても作者はイギリス人なので、日本人の感覚からすると目新しい食材や調理法が多いけれども…それはともかくとして)
それが8回きっちり、繰り返される。
原題は「mamma」。
料理の本を読んでいると、不思議にフェミニズム的テーマに行き当たるのだけれども、この本にもそれはあった。
料理をすることはとてもクリエイティブな行為で楽しい生活の一部、ともいえるし、女の数十年を縛り付けて誰にも省みられず報われない悪夢のような存在、とも言える。両軸だ。どちらか一方だけで固定されるものでは多分ない。作者もその辺りには煮えきらない言葉をポツポツと落としている。
現在は野菜を中心に据えつつ少量のチキンや魚も食べる生活に落ち着いている。
その辺りのバランスのとり方も面白かった。
マーマイトとバターのパスタ、食べてみたいな。